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調理器具のおろし方・手入れ・しまい方【鉄鍋・鉄のフライパン・アルミ鍋・銅鍋】

 

 お気に入りの調理器具を長く愛用するためには、正しい手入れとしまい方を知っておくことが不可欠です。今回は、鉄鍋、鉄のフライパン、アルミ鍋、銅鍋に焦点を当て、それぞれの器具を美しく、効果的に手入れする方法をご紹介します。

 

 

鉄鍋・鉄のフライパン

鉄のフライパン


フライパンのおろし方はダイナミックにそして充分に

 新しいフライパンには表面にビニール塗装がしてあるのがふつうですから、まず、これをとり除かなければいけません。火にかけて、ブスブスと煙が立ち上るくらいまでから焼きし、そのあと洗剤で洗います。

 次に、使い残しの油をたっぷりめに入れて20~30分間煮たて、さらに新しい油に替えて10~15分くらい煮たてると、油がなじんで、焦げつきにくくなります。

 

鉄鍋は湯を沸騰させて金気を抜く

鉄の鍋

 新しい鉄鍋などは、金気(鉄の中に含まれている不純物)が強いので、これを充分に抜いておかなければなりません。金気が残っていると、使っているうちに水の中に溶け出して料理の味を落としたり、さびの原因になったりするからです。

 

フライパンは湯だけでさっと洗う。洗剤は使わない

 フライパンは油がしみ込んでいる方が使いやすいので、なるべく洗剤は使わないように。使い終わったら、紙で油を拭きとり、熱いうちに湯を入れてさっと洗います。裏側は、クレンザーとたわしでさっと洗い、水で流したあと、火にかけて水気をとり、食用油を少量すりこんでおきましょう。それでもよごれがこびりついてきたら、からだきし、熱いうちにジュっと水につけて洗う、これを何回か繰り返します。

 もっとも簡単なのは湯を何回も沸騰させること。また、栗や柿の皮などを入れて、よく煮たてると、金気抜きと同時にさびの防止にもなります。

 

使い終わった鉄鍋は水気を完全にとる

 鉄鍋や鉄のフライパンは、なんといってもさびさせないことが第一です。そのためには、まず塩気や酸のものを長い時間入れておかないこと。まだ熱いうちに湯で洗って弱火にかけ、完全に水分を乾かすことです。その後、食用油を薄く塗っておきましょう。

 さびが出てしまったときはクレンザーとたわしで徹底的にさびをとり、さつまいもの切れ端や皮を入れて何度も繰り返し煮たてます。

 

鉄鍋の焦げくせはいったんつくと治らない

 鉄鍋や鉄のフライパンをうっかり焦がしてしまったら、その都度徹底的に落としておきましょう。いい加減にしておくと、地金の奥深くまで組織が変質してしまい、どんな手当てをしても、いわゆる焦げくせが治らなくなってしまいます。

 焦げができたら火にかけて、から焼きします。こうすると焦げが自然にとれてきますから、その部分を地金が見えるくらいこすり落とし、しっかり磨き、食用油を塗りこんでおきましょう。

 

 

アルミ鍋

アルミ鍋

アルミ鍋は塩気や酸に弱い。食べ物の入れっぱなしは禁物

 アルミニウムの鍋は塩気や酸に弱いので、長い時間、鍋の中に食べ物を入れっぱなしにするのは禁物です。使い終わったらすぐに洗っておきましょう。

 ふつうの汚れは、きめの細かいクレンザーで落とし、固いたわしなどはあまり使わないようにします。

 また、ほかの鍋と比べると熱にも強くありませんから、揚げ物には向きません。焦げつかせたり、からいりしたりしないようにしましょう。

 

アルミ鍋は水分にも弱い。穴が開いたら・・・

 アルミニウムの鍋の表面に、白いカビのようなものが浮き出ていることがあります。これといって人体に悪い影響はありませんが、そのまま放っておくと、その部分から穴があきやすくなります。原因は水分ですから、アルミ鍋を洗ったあとは、乾いたふきんでよく水気をとっておきましょう。

 もし穴をあけてしまったら、リペット(鋲)を買ってつけると、簡単に修理できます。

 

アルミ鍋も手入れ次第で黒ずまない

 アルミ鍋が使っているうちに黒ずんでくるのは仕方のないこととあきらめてはいませんか。けれど、この黒ずみも使い始めに手入れしておけば出にくくなります。

 鍋に濃い米のとぎ汁を入れて20分ほど沸騰してそのままさまし、よく洗ってから使います。

 もっと効果をアップさせたいときは、米のとぎ汁の中に酢を大さじ2~3杯入れてください。

 

銅鍋

銅鍋



銅鍋の被膜は除光液でとるとよい

 新しい銅鍋は傷がつかないように薄い膜がかぶせてあります。これを知らずに、うっかりそのまま火にかけると熱で被膜が溶けて鍋に付着してしまい大変面倒なことになりますから、必ず使う前にシンナーか除光液でぬくっておきましょう。

 なお、緑青やさびを防ぐために錫のメッキがしてありますが、これはたいへん傷つきやすいので金属たわしなどは厳禁。スポンジでそっと洗います。

 

銅鍋の錫メッキは再生できる。メーカーに相談

 銅鍋に施してある錫メッキは熱に弱いので、絶対にからだきしてはいけません。たちまちメッキがはがれてしまいます。ただし、割合簡単に再生ができるようですから、万一の場合にはメーカーに相談してみるといいでしょう。

 また、この錫のメッキには目に見えないほどの穴があり、長い間食物を入れっ放しにすると、そこから酸や塩分が侵入して、緑青やさびの原因になりますから、中身は早く他の容器へ。

 

まとめ

今回の記事では、鉄鍋からアルミ鍋、そして贅沢な銅鍋まで、さまざまな調理器具の手入れとしまい方に焦点を当てました。これらの調理器具は我々の料理のパートナーであり、正しい手入れによってその寿命を延ばし、美しさを保つことができます。

 最後に、これらの調理器具への手入れは愛情の表れでもあります。料理を通じて愛された器具は、その愛情を料理に注ぎ込んでくれます。手入れが整ったら、日々の料理がより豊かになることでしょう。