おばあちゃんの知恵 役立つ暮らしの辞典

昔から語り継がれる暮らしの知恵を発信

魚介類の覚えておきたい知識と調理法

 和風料理の魅力は、おばあちゃんの知恵が息づくところにあります。季節の恵みを大切にし、その時々の旬の食材を使い、バランスの取れた食事を提供すること。そして、素材の豊かな味わいを生かし、調理法や調味料の使い方に工夫を凝らすこと。見た目や盛りつけにも心を込め、食卓を彩ること。これらは、おばあちゃんたちが受け継いできた知恵であり、和風料理の美味しさと愛情が詰まっています。

 今回は、そんな昔から語りつがれている和風料理の魚介類の基本をご紹介していきます。和風料理の奥深さを楽しんでみませんか。

 

ヒラメとカレイの違いは目の位置で見分ける。左ヒラメ、右カレイ

 内臓のある方を手前にして見ます。「左ヒラメの右カレイ」は頭の位置、つまり、目が左右どちらについているかで区別します。

 目の位置だけで店頭にでるとずいぶんな違いで不思議ですが、カレイより高級魚として扱われるヒラメです。

 どちらも、ぬめりのある魚で、ぬめりに生臭みがあります。包丁の背でしごくようにしてぬめりをとり、下ごしらえします。

頭の向きで見分ける 左ヒラメの右カレイ

 

 

切り身の鮮度は、切り口のしっかりした、同じものがたくさんあること確かめて

 新鮮な魚ほど身がしっかりしているので切り口がきれいなもの。一尾を何切れにも切っているはずですので、同じものがいく切れもあれば、おろしたてです。一尾ものを買うときより、切り身を買う方が本当はむずかしいものです。「身が締まって透明感のあるもの、血合いと身、皮の境目がはっきりしている」のが条件。さて切り身はうすい塩水でさっと洗うだけに。いつまでも水に入れていてはうま味を逃します。

島根県産天然ブリの切り身

 

えびの背わたは生のうちにきれいに取り除く

 えびの背わたは消化管で、料理の味を落としますので、必ずとり除くようにします。竹串を尾から2~3節目に差し込み、そのまま持ち上げるときれいに抜けます。

 これは、殻がついていてもいなくても同様に操作できます。ただし、あまり胴体を丸めすぎると、背わたが途中で切れることがありますので、できるだけまっすぐにした状態で引き抜くように。

えびの背わたの下処理

 

 

貝の砂出しは一晩、海水より薄い塩水につけ、ふきんをかぶせる

 あさりの味噌汁などを食べていてジャリッなんてことはありませんか。砂出しが不十分だったためです。

 貝は買ってきたら海水(3~4パーセントの塩分)より薄い塩水に一晩漬けます。ふきんをかぶせると潮を吹いた貝の水気がまわりにつきません。砂出しと書いてある貝を買っても念のためやってみましょう。

ざるに入れると砂が底に落ちるのでおすすめ

 

 

一味違うあさりの味噌汁を紹介。秘密はごま

 白ごまを香ばしく煎ってよくすり、味噌を加えてさらにすり合わせ、卵黄1個加えます。ここに水を徐々に入れて溶き混ぜ、裏ごししておきます。

 一方、よく砂を吐かせたあさりは鍋に入れ、ごま油をふりかけて殻のままいため、5分おいて先ほどの味噌汁を入れて手早く煮立て、火をとます。さらしねぎや柚子をあしらって供します。

あさりの味噌汁

 

 

牡蠣の下ごしらえは塩水か大根おろしで洗うときれいに

 英語のスペリングで語尾に「R」のつく月がおいしい牡蠣ですが、新鮮さがなによりおいしさです。殻からとった牡蠣は目の粗いざるに入れ、薄い塩水の中でふり洗いしてよごれを落とします。それでも落ちないときは大根おろしをまぶして洗い流すときれいになります。新鮮な素材をおいしく食べるための下ごしらえは、手を抜かずにやること。

 さて、貝類は、良質なたんぱく質を多く含むほか、ビタミンB群も優秀。そしてこのビタミンB群は、わた、にたっぷり含まれています。貝柱だけという食べ方ではなく、わたも一緒に食べる牡蠣は好都合です。

牡蠣は塩水で洗う

 

 

生臭い汁を出し、身を締める魚のふり塩。白身魚には1パーセント、青い魚には多めに

 下ごしらえをし、水気をきれいに拭いた魚を用意します。トレイに軽く塩をふり、魚を並べて残りの塩を30センチほど上から、均一に全体にふりかけます。

 冬は少し置かないと塩がききませんが、夏はすぐ塩がきいてしまいます。目安は塩の粒が溶けてぬれた状態になるか、塩の量の多いときは魚の水分がトレイから染み出るほどになったときです。

 表面や腹わたににじみ出た水気は、ぬれぶきんでよく拭き取ると、生臭さと焼いたときの皮のいたみが防げます。

 魚の下ごしらえにおける塩の効用は、①余分な水分と水に溶けやすい生臭みを抜く。②塩が、魚の表面のたんぱく質を固めて身くずれを防ぐ、などの目的があります。

塩をふったイワシ

 

 

魚の焼き物のあしらいには、酸味のものがよく合う

 食欲を増す「酢どりしょうが」はぜひ添えたいあしらいです。ほかにはねぎの網焼き。酢ばす、菊花かぶ、みょうがやきゅうりの甘酢漬けなどの酸味のもの、ししとうがらしの油焼き。季節感も取り入れて添えたいものです。また、青梅の蜜煮も口直しとして美味。

甘鯛の半身焼き

 

 

魚の腹わたをとったあと、背骨のところの血を竹串できれいにとる

 新鮮なさんまなど腹わたもおいしい魚はまるのまんま焼きますが、そのほかの魚は腹わたをとり除いて焼きます。

 背骨の両側に血が付着しています。これは生臭みのもととなり、料理の味を落としますので、竹串を何本かまとめて輪ゴムで結んだもので、きれいに掃除します。

 

 

まとめ

今回は、昔から語りつがれる和風料理の基本と題し、主に魚介類の調理の基礎をお伝えしました。丁寧な調理法を通じて、魚介類の豊かな味わいを引き出すことができます。おばあちゃんたちが受け継いできた知恵を活かし、心を込めて料理をすることで、食卓に愛情と感謝が溢れることでしょう。この情報がお役に立てればと思います。

 

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