おばあちゃんの知恵 役立つ暮らしの辞典

昔から語り継がれる暮らしの知恵を発信

じゃがいも・里芋・ごぼう 昔から語り継がれる調理の知恵

 じゃがいも、里芋、ごぼう――これらの野菜には、昔から語り継がれる調理の知恵が宿っています。古くから親しまれ、家庭の味として根付いてきたその料理法は、時を超えて私たちの食卓に息づいています。このブログでは、そんな昔から語り継がれる調理の知恵を探求します。ぜひ役立てば幸いです。

 

 

春のじゃがいもは、皮を厚くむいて食べる。

 おばあちゃんからよく、「春のじゃがいもは食べすぎるとおなかが痛くなる」と言われたものです。そして、もう収穫後かなり時期のたった、しなびかけたじゃがいもの皮を、台所でおばあちゃんが厚くむき、みるみるうちに、半分くらいの大きさになってしまったのを覚えています。

 今になってみると、この古い知恵にも、ちゃんと科学的根拠を認めることができます。つまり、じゃがいもには、ソラニンという有毒物質が含まれており、ふだんは人体に全く害のない量なのですが、じゃがいもの発芽期である、三、四月ごろになると、ふだんの十倍近くにも量が増えてくるのです。とくに、目と皮の部分に多く含まれていて、これを多量に食べると、腹痛、めまい、ねむけ、虚脱感、意識障害などを引き起こすもとになります。また、太陽に当たると、この毒性が強められることも、科学的に実証されています。

 こんなことから、昔の人は、春じゃがいもを警戒して、陽に当てないようにし、皮を厚くむいて食べるよう心がけたのでしょう。あなたも、春のじゃがいもは、皮を厚めにむき、芽の部分は深くえぐり取ってから調理してください。こうすれば、毒のほとんどはとり除かれます。

春のじゃがいもは厚く皮をむく

 

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じゃがいもは、水にさらしてから、中温で揚げると、カラッと揚がる。

 ポテトチップスをはじめ、つけ合わせのくし型やせん切りのじゃがいもをから揚げにするときは、まず、切ったじゃがいもを冷水にさらしておくことが、カラッと揚げる秘訣だとされています。これで、じゃがいもの表面にあるデンプンを、水に流し出してしまおうというわけです。こうすれば、じゃがいもの内部から水分が出ていくのを邪魔するものがなくなり、カラッと揚がるのです。

 水がデンプンで濁ってきたら、二、三回水を取り換えて、じゃがいもがパリッとするまでさらします。これをザルに上げて水を切り、さらに乾いたふきんで水分をよく取り除きます。そして、160度くらいの中温に熱したたっぷりの油で、かき混ぜながらゆっくりと揚げます。

 油の温度があまり高いと、内部から水分が出ていく間もなくまわりが色づいてしまいますから、表面がからりと揚げられても、しばらく置いておくと、軟らかくなってしまいます。ですから、やや低めの温度で、内部から水分を蒸発できるようにゆっくり揚げる必要があるのです。

 よくお年寄りが、つけ合わせのフレンチポテトを揚げるとき、先に蒸したり、ゆでたりして、半分煮えた状態にしておいてから揚げているのも、こうした理由からなのです。こうすれば、内部に水分もなく、揚げる時間も短くて、カラッときれいなキツネ色に仕上がるというわけです。

ポテトフライ バジルソース

 

里芋を煮るときは、落としぶたのかわりに和紙を使う。

 ふつう煮物をするときは、鍋より一まわり小さいふたをする、いわゆる「落としぶた」をします。しかし、里芋やリンゴなどを軟らかく煮ようとするときは、煮たってくるとふたに当たって、変な形になってしまいます。

 これを避けるため、昔の人は、和紙やパラフィン紙などを、落としぶたの代わりにかぶせました。紙のときは汁が煮立ったとき、立ち上がってふきこぼれることがありますから、ところどころ穴をあけておきます。

 こうすると、いくら煮つまっても、直接ふたに中身が当たったとしても、傷がつかず、里芋などは、まわりのとろっとした舌ざわりを十分に味わえます。

 和紙やパラフィン紙がない場合は、現代の台所ならどこにでもある、アルミホイルやキッチンペーパーを使ってもいいでしょう。

 

 

ごぼうを、糠か、米の濃いとぎ汁でゆでると、白く仕上がる。

 もともとごぼうは、「くだこぼう」といって、芯を抜いて皮だけを使う料理があるほど、皮目に、ごぼう特有の香りと美味しさがあります。できれば、泥のついたままのごぼうをタワシでこすり、うすく皮をとって使うのがごぼう本来の料理法なのです。

 ところが、こぼうは、ちょっとささがきしただけでも指先が黒くなるほどアクの強い野菜です。切ってしばらく放置しておくと、表面がすぐ酸化して皮をかぶった状態になってしまうので、水をはったボールでささがきするとか、切ったはしから水につけるなどの方法でこれを防がなければなりません。

 そのため、酢水につけて膜を張り、酸化を防ぐという方法が古くから使われていますが、米や糠のとぎ汁につけるお年寄りもいます。米や糠の白水がアクの成分を吸収してくれるというわけです。

 ゆでるときも、この白水を使うと、きれいに、早く、しかも軟らかにゆでられます。このあと、一度きれいな水で洗って調理すれば、白くておいしいごぼうが食べられいます。漂白剤を使って白くしたごぼうとは、同じ白さでも味がちがうというわけです。

泥つきのごぼう

 

まとめ

 昔から受け継がれる料理の知恵に触れ、料理の楽しみとともに、じゃがいも、里芋、ごぼうの料理のレシピのヒントになれば幸いです。今後も皆さまの食卓を彩る食材の知恵を紹介し、料理の世界をさらに楽しく豊かにしていければと願っています。どうぞこれからもご愛読いただき、ぜひ料理の腕を磨くお手伝いになれば幸いです。

 

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